貝が喋る

あぶくのような言葉たち

運命の出会い

今週のお題「激レア体験」

 

突然ですが

運命の出会い』ってあるじゃないですか。

 

「朝学校へ向かっていたら、食パンをくわえた女の子と出会い頭でぶつかった」

 

レンタルショップで、借りようと思ったビデオに手を伸ばすと、隣のイケメンと手が触れた」

 

などなど。

 

人間だれしも、一生に一、二度はこのような『運命の出会い』を経験することになっていると思うのですが

その後多分に漏れず、僕も実は人生で二度ほど、「運命の出会い」イベントってのがありまして。

 

今日はそのうちの一つを、簡単に書いていきたいと思います。

 

ーーー

 

このお話をするにあたって、まずは僕が高校一年生だったころ。

およそ6年前に遡らなければなりません。

 

当時、ちょっとした数学のセミナー的なイベントがありまして

運よく参加権を得られた僕は、三泊四日の合宿のため、福岡県は大川市へと向かいました。

 

そこでの活動は、それはそれでブログ三つ分くらいの密度があったのですが

本題ではないので、割愛しますね。

 

とにかくそこで僕は、ある一人の女の子(仮にクマノミちゃんとします)と仲良くなりました。

 

クマノミちゃんとは、セミナーが終わった後もちょくちょくラインなどしてたんですが

その後、ふとした機会に一回だけ会って、それきり疎遠になってしまっていました。

 

元々僕の実家が茨城県で、彼女は神奈川県在住。

会えないほど遠くもないけど、気軽に会えるほど近くもない。そんな距離感だったのです。

 

そんなこんなで、月日は流れ。

 

時は2年前。

僕が大学二回生の、夏休みです。

 

以前『姉と僕と英語と』『異世界転生夢想』等のブログにも登場しましたが、わが姉上(くらげです)は、カナダへ留学しているんですね。

 

で、二年前の夏休み、僕はくらげ氏を頼りに、カナダへ遊びに行ったんです。

一週間くらいの、滞在だったかな。

 

で、二日目くらいですかね、ふと何の気なしにインスタを開いてみたんですよ。

 

当時僕は、クマノミちゃんのインスタアカウントをフォローしていて

その時タイムラインに、彼女の投稿もあったんですが

 

バンクーバーって、書いてあるぞ⁇

 

いやいや、見間違いかもしれない。いったん落ち着いて確認しよう。

しかし、そこにあがっている写真は、どう見ても昨日僕も行ったところです。

(確か有名な、『蒸気で動く時計』でした)

 

もしかしたら、過去の写真を上げてるのかも…

と思いましたが、彼女ちゃんとストーリーも投稿してて。

間違いなく、リアルタイムの出来事ですね。

 

え、そんなことある⁇

 

慌ててラインを開きます。

 

クマノミちゃんクマノミちゃん‼」

「今バンクーバーいる?」

 

「うん!

いるよー」

 

「僕もいる」

 

「⁈」

 

お互い、びっくりしちゃいましたね。

もう完全に『運命の出会い』じゃないですか。

 

で、そこから2人で予定を合わせて

後日、一緒にバンクーバーを歩いたんですよ。

 

二人でドーナツ食べたり、英語のゲームを頑張って解読しながら遊んだり。

会ったのは久しぶりだったんですが、楽しく時間は過ぎていきました。

 

そんなこんなで、夕食時。

 

当時僕らは19歳だったのですが、カナダの法律では、19歳は立派にお酒が飲める年齢です。

郷に入っては、郷に従え。

 

ちょうど彼女が、前日においしいオイスターbarを教えてもらった、といっていたので

二人でそこに向かいました。

 

席に案内され、慣れない英語のメニューと格闘しながら、なんとか注文を決定します。

 

ちょっと大人びた気分でウエイターを呼び、二人でお酒を注文。

 

その時、思いがけない展開になったのです。

 

「Passport please.」

 

…ん?

今、もしかして

 

パスポートって言った⁇

 

この時、僕は実質初めての海外旅行。

パスポートは肌身離さず持ち歩くべき、という常識も知らず、自分のポンコツさに自信を持っていた僕は

 

「なくすと怖いから」

 

というなんともあほな理由で、パスポートを家に置いてきていたのです。

 

これが真のポンコツ

 

もちろん、しっかり者の彼女は、きちんとパスポートを提示していましたが、僕はひたすらあたふたするだけ。

 

困る彼女。

焦る僕。

突き返される学生証。

 

結局、その日は違うお店にいって、普通にごはんを食べたんですけど

 

いやぁ、やっちまいましたね。

 

手に入らなかった牡蠣と、借りられなかったお酒の力は、あまりにも大きなものでした。

 

まごうことなき、『運命の出会い』だったのに…

 

その後クマノミちゃんとは、それ以上人生が交差することもなく

再び疎遠になっちゃいました。

 

「海外旅行では、パスポートは持ち歩く」

 

もう絶対に忘れない自信がありますけど、授業料がちょっと高かった…

 

 

と、こんなお話です。

 

…ん?

「二個目は何だ」って?

 

あ、そういえばそうですね。

確かに冒頭で、「二度ほど」運命の出会いを経験した、って書きました。

 

ですが、今日はもう日もくれましたし。

 

そのお話は、また今度ということで。

 

ではまた次回!