貝が喋る

あぶくのような言葉たち

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

雪山、一面の白い雪山。 そこに降り注ぐ吹雪は、一粒一粒が鋭くとがって ゆく人々の肌を的確に、えぐり、切り裂く。 雪の粒が肌に当たるたび、血飛沫が宙に花開いて ルビーのように輝いて、一瞬の光を焼き付けて 雪の上に、その痕を残す。 千切れては、跳ね…

反吐

例えば、今自分の目の前に 「これが神様です!この方が、世界の全てを司っています!」 という言葉とともに、偶像が差し出されたとする。 とりあえずそれを手に取って、繁々と眺めたのちに、おそらく僕は丁寧にそいつの四肢をちぎるだろう。 腕と足がバラバ…

満員電車

空気が一気に、気怠く蒸れる。 人の群れが空間を圧迫して、余白を消す。誰もが自分の領域を意地汚く主張して、それを広げようと手を伸ばす。僕は慌てて本を取り出し、中に逃げ込もうとする。活字と想像力で扉を閉めて、息を潜めて隠れている。けれど伸ばされ…