反吐
例えば、今自分の目の前に
「これが神様です!この方が、世界の全てを司っています!」
という言葉とともに、偶像が差し出されたとする。
とりあえずそれを手に取って、繁々と眺めたのちに、おそらく僕は丁寧にそいつの四肢をちぎるだろう。
腕と足がバラバラになったら、首をもぎ取り、胴体を砕く。粉々になったそれに煙草の火を押し付けて、燃え上がる炎に向かって、中指を立てるだろう。
世界を、呪いたい気分だ。
夜行バスの乗り心地は最悪。隣席の独り言が耳に障る。エンジン音がうるさい。照明がちかちかする。感じる全てが、鬱陶しい。
涙が流れる気配もない。現実逃避にも身が入らない。景色が全く色を持たない。口に残った煙草が不味い。
あぁ、反吐が出る。
反吐が出る