貝が喋る

あぶくのような言葉たち

意外とかわいい

・今回の記事の元ネタは、「メリーさんの電話」という怪談話になっております。

メリーさんから、電話がかかってくるお話なんですが

面白いので、知らないよー、という方、よかったら一度調べてみてください。

 

ーーー

 

暇だから、メリーさんに電話してみた。

 

「もしもし」

 

「あっ、えっ、もしもし!

えっと、あの、私、メリー‼

 

「知ってる。

今、何してるの?」

 

「今?えっとね…

今、ホットケーキを焼いてるの

 

「かわいい。

お菓子とか、よく作るの?」

 

「そ、そんなことないけど

今、誰の後ろにもいけないから…

 

「商売あがったりじゃん」

 

「三密はだめなんだって…

(シャカシャカ♪)」

 

「防疫意識高い。

甘いもの、好きなの?」

 

「う、うん…

でもねでもね、ホットケーキね」

 

「うん」

 

「本当は、はちみつかけたいの。

メリーさんは、はちみつが好きなの

(シャカシャカ♪)」

 

「いいじゃん。

なんでかけないのさ」

 

「三密…」

 

「密違いかな、たぶん」

 

「!

はちみつは、許されてるの…?」

 

「許されてるんじゃないかな。

小池さんも、はちみつくらい食べると思うよ」

 

「やったぁ!

(シャカシャカ♪)」

 

「音楽が聞こえる」

 

「あ、これ?

青山テルマの、『そばにいるね』

 

「キャラに忠実な選曲」

 

「ここ一週間、ずっとエンドレスで聞いてるんだぁ」

 

「狂気の沙汰だよ」

 

…一人で。

 

「なんだかんだ自粛してるの偉いな」

 

「最近、本当に暇なんだぁ」

 

「そうなんだ。

電話したらいいんじゃない?こんな風にさ」

 

「そうなんだけど…

電話してるとつい、ちょっとずつ近づいていっちゃって…

 

「oh」

 

「すでに今も、玄関の扉に手がかかってるわ」

 

「ギリギリじゃん。

だめだよ、それ以上進んじゃ」

 

「…行きたい」

 

「だめ」

 

「マスクと、アルコールもってくから」

 

「意識はちゃんと高いんだよね」

 

「私メリーさん、今あなたの二メートル後ろにいるの」

 

「他人同士の距離感」

 

「…暇ぁ」

 

「我慢しなさい」

 

「…そういえば、なんで電話してきたの?

ていうか、私の番号どうやって…」

 

タウンページに載ってたけど」

 

ガバガバ過ぎない⁈

それで、何の用なの?」

 

「別に用はないよ。

暇だったから、電話しただけ」

 

「…え?

何もないの?」

 

「うん」

 

「電話してきたのに?」

 

「うん」

 

「後ろにも来ないの?」

 

「行かないけど⁇」

 

「そんなぁ…

急いで、お部屋片づけたのに…」

 

「もてなす気だったんだ」

 

「なぁんだ。

…まぁでも、いいや、楽しかったし」

 

「電話ぐらいなら、いつでもいいよ」

 

「本当⁈」

 

「うん。

僕も暇だし」

 

「やったぁ!」

 

「そういえばさ、」

 

「ん?」

 

「…ホットケーキ、大丈夫?」

 

「………

キャ―――‼

焦げてるーーーー‼」

 

「笑笑」

 

「治るかなぁ⁈

はちみつかけたら治るかなぁ⁈」

 

「治らないと思うなぁ、多分」

 

「…グスン。

…………」

 

「……

ワー、スゴイキレイニヤケター。

チョウオイシクデキタナー。

コレハアナタニタベテホシイナー」

 

「いや騙されるか」

 

「じゃ、この残飯もって

今からあなたの後ろに行くね!

 

「やめなさい。

てか残飯言ったな」

 

「待っててねー!」

 

「ちょ、え、おーい!

…切れた」

 

 

………

 

後でポストを確認したら、土星人の主食、みたいな何かが入ってました。

 

捨てました。

 

fin.