貝が喋る

あぶくのような言葉たち

大切な人

今週のお題「大切な人へ」

 

 

~Chapter1 ”マモル”~

 

「いいかマモル、お前はな

母さんや妹のチヨ、お前の大切な人を守れる、強い男になるんだぞ」

 

「うん、わかったよ、パパ!」

 

ーーー

 

「キャ――、ゴキブリ!!」

 

「だいじょうぶだよママ、ぼくがまもってあげる!」

 

「しっしっ、あっちいけ、ゴキブリ!」

 

「助かったわ、ありがとう、マモル!」

 

ーーー

 

「あ、いけない、宿題忘れちゃ…」

 

「え、ランドセルに入ってた!どうして?」

 

「あ、マモルお兄ちゃんの手紙だ」

 

『チヨへ

きのう、はやくねたから、ねんのためバックにいれておきました。

これからきをつけてね

マモル』

 

「マモルお兄ちゃん、ありがとう!」

 

ーーー

 

「…くそ、このままでは、わが社は倒産してしまう…」

 

「何とかしなければ…

しかし一体、どうしたら…」

 

ピロリン

 

「おっ、マモルからメールだ」

 

「パパへ

 

ぼくのみたてでは、〇×しょうしゃのかいはつしたシステムが、これからのびるとおもうんだ。

だから、あそことていけいして、あたらしいぷろじぇくとをはじめるのがいいとおもうよ

 

「守り過ぎじゃない?」

 

 

~Chapter2 ”カップル”~

 

「…ねぇ、わたしが死んだら、悲しい?」

 

「そりゃそうだろ。

…ミカは俺の、大切な人だからな」

 

「じゃあ、重い病気になったら?」

 

「もちろん悲しいよ」

 

「レゴとか踏んだら?」

 

「…まぁ、悲しい、かな」

 

「そこそこの距離乗る電車で、運悪く席が空いてなかったら?」

 

「…たぶん、悲しい、と思う」

 

「………!

買ったガリガリ君十本が、全部はずれだったら⁉」

 

「ボーダー探すのやめない?」

 

 

 ~Chapter3 ”親友”~

 

「早くいけよ。

カナコ、アメリカ行っちまうぞ」

 

「…だけど、タクミ。

お前こそ、カナコのこと…」

 

「なーにごちゃごちゃ言ってんだよ。

大切なんだろ、カナコのこと」

 

「…タクミ」

 

「ほら」

 

ヒュッ

 

パシッ

 

「…これは」

 

「チャリキーだ」

 

「バイクじゃねぇのかよ」

 

「早くしろ。

…カナコも絶対、お前を待ってる」

 

「いや間に合うわけ」

 

ピコン

 

「あ、カナコからLINEだ。

位置情報…?…って、すぐそこじゃん!

あいつ、空港行ったんじゃ…」

 

ピコン

 

『待ってるよ~(^o^)』

 

「いや空港行けよ」

 

ピコン

 

『空港かと思ったら、大丸だったwww』

 

「あほしかいねぇよ」

 

 

 

 

いかがでしたか?

 

大切な人、をテーマに、三本のストーリーをお送りしました。

 

おもしろかった、と思ってくれた方、「キャーーー、ゴキブリ!!」のあたりで、そっとページを閉じた方、反応は様々かと思います。

 

が、一つだけ、言わせてください。

 

僕の大切な人たちは、僕の十倍は面白いです。

 

ではまた!