貝が喋る

あぶくのような言葉たち

抒情の小箱

比喩のフリー素材を、作りました。

 

一見して趣の深いものから、使いどころの分からないものまで。

 

日常の些細な景色の、添え物としてお使いください。

 

参考までに、ささやかな使用例も載せておきます。

 

ーーー

 

・明け方の消えかけた月のように

例)明け方の消えかけた月のように、彼女は笑って「さよなら」と言った。

 

・昔好きだったアーティストのように

例)つまるところ、「同窓会」っていうのは

昔好きだったアーティストの曲を、もう一度聞くようなものだと思う。

 

・鞄の底のレシートのように

例)鞄の底のレシートのようにじっと、

部長の嫌味が終わるのを待った。

 

・顔を出さない女神のように

例)その小ぶりでつつましい宝石は

顔を出さない女神のような輝きをまとっていた。

 

兵庫県で言うところの、淡路島のような

例)彼女の体、左胸の下あたりには

兵庫県で言うところの、淡路島のような痣がある。

 

・屋台で獲った金魚のような

例)屋台で獲った金魚のようなテンションで

交際を始めたのがいけなかった。

 

・底に残ったナタデココのような

例)缶の底に残ったナタデココのような気持ちにさせられる映画だった。

 

・好奇心の対義語みたいな

例)うちで飼っていた太ったマオは

好奇心の対義語みたいなねこだった。

 

・自殺をしない太宰のような

例)「自殺をしない太宰のようなものね」

酢豚(パイナップルの入ってないやつだ)の大半を残したまま、彼女はそういって席を立った。

 

・結末のない小説のような

例)「結末のない小説のようなものさ。

待ち続けるしかないんだ」

 

fin.